ランゲルハンス島沖

どうしてそんなこと言うの

右手

 

今起きている一つの事象から二つ三つの事象を生み出し、その自分が作り出した頭の中の状況で溺死しそうになることが多い。自分一人で考えたことは私の場合、大抵へんな方向に突っ走ってしまう。一人で考えれば考えるほど自分が苦しくなる。世の中に自分の味方がいないように感じる。自分が信じていたものに騙されているように感じる。元々はいなくなる予定で過ごしていたんだ、早く死ななくては、自分はそういう宿命にあるんだった。とか中学生みたいなことを思う。精神的に不安定な状況の24歳はこういうこと以外に何を考えるんだろう。いや、そもそも私と同じ世の中の24歳のひとたちは精神的に不安定になどならないのかもしれない。

 

全部が信じられなくなったとき、漠然と「早く死ななくては」と考えていたことを思い出したとき、頭によぎるのはいつもリストカットである。24歳がリストカットを考えている‥と俯瞰して見ると悲しくて泣けてくる。私にはそれしか、パニック状態の脳を落ち着かせる方法を知らない。恥ずかしくなって、自殺の方法を調べ、ありとあらゆる方法で死ぬ自分を想像する。二階から落ちたってきっと大したことないのに、窓から何時間も下を眺めたりする。

結局のところ、自殺を実行するまでの強い衝動も思考停止状態も起きることがないので、右手を壁や階段の角にバンバン叩きつけている。近所迷惑である。これでは仕事で面倒を見ている障害児の自傷行動と同じだ。右手は内出血を起こして、動かすたびに痺れている。この方法で自分か楽になったのかどうかよくわからなかった。というか結局なにをしても楽にならない気がする。

 

自分の置かれている環境が変われば、関わる人を変えれば、自分は良い状態で過ごせると思っていたがそれは大きな勘違いだった。どこにいようがなにをしようが私は私なのだった。中学生だろうが24歳だろうが、私は連続していて、右手を壁に叩きつけていた。私から逃れられない、私が自殺する理由はこれだと思う。